1. 英語全般のFAQ

11. 英語の音

13.
最大の理由は次の二つです。

(1)英語は日本語よりも音の数が何十倍も多いので、音の区別をつけられない。

(2)英語の音と日本語の音では聞いているところが全く違う。

14.
現存する話者を何千万人、1億人とかかえる言語のなかで、日本語の音の数だけが桁違いに少ないからです。他言語と比較した場合、日本語の音は驚くほどに、恐ろしいほどに簡単です。

15.
例えばコンビニエンス ストアや居酒屋で働く外国人を見てください。20世紀から21世紀にかけて、韓国人、中国人、ベトナム人のように労働者の国籍は変遷していますが、全員普通に働くことができていますよね? あれは日本語の音が簡単なので、すぐに客の日本人と意思疎通ができるからです。

日本人はアメリカに行ったら、ビザの問題は別にして、レストランでのアルバイトはすぐにはできません。客の注文が聞き取れないからです。

16.
人間が言語の音の聞き分ける方法は、最初に身に着けた母語に100%依存します。この音の区別の作法というのは音声言語において決定的に重要です。理由は音の区別の仕方が違うと、話者と聞き手の間で意思疎通ができないからです。

したがって日本語の音の世界では、多くの英語の音の区別をしない(例えば"L"と"R"は聞き分けない)ことが正しいのです。だから日本人は聞き分けができません。

17.
この質問は求める聞き取りのレベルによって全く異なります。ただし元から英語の子音の聞き分けができる中国人やフィリピン人のレベルの聞き取りができるようになるには、たくさん聞くなどという精神論で普通にやっていては無理です。

18.
英語の音を難しくしている原因は大きく3点あります。

(1) 子音と母音の数が多い。

(2) 発音とつづりが一致していない。

(3) 単語と単語の音が連結(リンキング)する。

19.
はい、その通りです。そのため英語は一定の規則に厳密に従って話されます。ここから外れると話者間の意思疎通ができないためです。

20.
はい。英語は非常に音が難しい言語なので、ノン ネイティブの英語学習者は全員英語の音の難しさに苦しんでいます。ただし英語を外国語として学ぶ人たちは最初、全員が母語の音を流用して英語の聞き取りをおこないます。そのため母語にある音でどれだけ英語の音を聞き分けできるかが、スタートラインの位置を次元が違うレベルで決定的に変えます。

21.
アジア人を例にすると中国語(普通話といわれる北京語)やタガログ語(フィリピンの標準語)の話者は、英語の子音を完璧に区別して聞き取れます。しゃべらせると母語の訛りが強すぎて英語として何を言っているわからないようなこともありますが、そのような人たちでも聞き取りでは子音を完璧に区別できるようです。

ただし英語をまったく学んでいない人は当然、そもそも英語の音の基準がないため、英語を聞き取ることはできません。知らない単語はわからないのと同じです。

22.
はい。不公平です。日本語の音で成人してしまった人は、ほぼ全員英語の音を聞き分けることができません。できるようになる人もたまにいますが、こちらは全員塗炭の苦しみを経てできるようになっています。

そして血で血を洗う努力をしても、英語の映画やドラマの英語の発音は、生涯聞き取れるようにならない人の方が多数派です。

23.
これは断言しますが、日本語の音の世界で生きている人にとって、英語の音の聞き取りに耳が良いも悪いもありません。例えば"Lice"と"Rice"がどちらもライスとして聞こえ、"But"と"Bat"がどちらもバットとして聞こえるのは、日本語の世界では完璧にそれが正解です。むしろ区別して別物に聞こえたら日本語としてはそれは誤った聞き方です。

日本人同士の娯楽としてある単語の聞き分けができたとかできないとか、発音ができたとかできないとか、そういったことを楽しむのはいいと思います。そういうのが得意な人もたくさんいます。しかし本当に英語として聞き分けるといったときには、日本語の外の音の世界の話ですので、単発の音で発音できるかやってみたなどというのは何の意味もありません。

24.
私は一般日本人の英語の発音訓練は子音の使い分けのみで良いと思っています。理由は母音を増やす訓練は恐ろしく難しく、しかも費用対効果が低いためです。実際世の中には日本語と同じく母音が5個(a, i, u, e, o)しかない言語がとても多いですが、みんなその範囲で英語をしゃべっています。自分の母語以上に母音を増やしたりしようとする、発音マニアな人間はそんなに多くありません。

ただネイティブに確認したところ、母音がa,i,u,e,o しかないスペイン語話者やタガログ語話者(フィリピン人)も、それなりに母語に無い英語の母音を発音しているそうです。

それはともかく、一般の皆さんには、「通じる英語を話すには子音の使い分けをすれば十分である。日本語に無い音を聞き分けできる必要もない。ただし子音の使い分けができないと絶対に英語は通じない。」ということを心に刻んでおいて頂きたいと思います。

25.
まず大前提として、個別の音にこだわってひねり出した音というのは会話時にとても聞き取りづらいです。そういうことをする人には、お願いだから日本語訛りバリバリでも構わないので、普通にしゃべってくださいと思います。練習の時は構いませんが会話時は意識するべきではありません。

次にあなたがTと思っている音、フラップTと思っている音、Lだと思っている音、ダークLだと思っている音、全部が正しいという保証はどこにもありません。つまりネイティブから見たら間違っている音をその音だと思い込んで、一所懸命に発音している可能性があります。したがってTの種類にこだわるとか、Lの種類にこだわるとかよりも、ネイティブにそれぞれの子音を指導してもらって、それだけに注意を払うのが良いでしょう。

とにかく発音指導を受けている授業をのぞき、英会話では普通に話すことを心がけてください。

26.
これは私は曖昧母音という名前が本当に誤解を招くと思いますが、英語においてシュワー(曖昧母音)は極めてハッキリと明確にほかの母音と区別されて発音される音です。曖昧母音は発音が曖昧なのではなく、「英単語内で出てくる箇所が曖昧母音」なのです。

具体的にはある英単語において強勢が来ない母音は、非常に多くの場合にこの曖昧母音が使われます。

27.
私の意見はできなくてもよい、というものです。英語の母音は恐ろしく難しく、実際に母音が5個(a, i, u, e, o)しかない言語の話者の人たちは通常母音が増やせていません。スペイン語話者の英語を聞いたら、ペタペタペタとすごく母音がハッキリ聞こえてくる気がします。あれは母音が英語よりも数が少ないのも理由の一つです。

そしてそんなスペイン語話者は英語の母音なんて正確に全部発音できませんが、みんな元気に英語を話しています。したがって我々もややこしい母音は無視しましょう。

ただし曖昧母音がどういう音なのかは、ネイティブと練習して、一度は鳴らしてみる方がこういう音が存在するのだと認識するのに役立つと思います。

28.
はい、その通りです。そう思われる場合はその先生に習い、指導に従ってください。

29.
日本人が認識できない、区別できない子音の組み合わせはたくさんあります。しかしLとRだけがその中でも異常に困難で、英語の超上級者の日本人ですら区別できません。その理由は明確です。それは「日本語のラ行がLとRのどちらにもなる」からです。

ほかの子音は原則として、ヘボン式のローマ字で表される通り英語として聞いたときどれか一種類になります。たとえば「さしすせそ」ならば「Sa, Shi, Su Se So」となります。ShiがSiになったりはしません。

しかしLとRだけは、冷麺(れいめん)といったときはLに近く、レモンといったときはむしろRに近いというように、英語として聞いたとき子音が揺れます。このために両者をどちらも「ラ行」と認識する日本語の音だけで大人になってしまうと、LとRの識別が不可能な体の状態になるのです。

30.
これは断言しますが、そんなことはまったくありません。むしろ日本語の世界では"L"と"R"を区別せず「ラ行」の音として聞くことが正しいのです。"L"と"R"を区別してしまったらそれはもはや日本語の音ではありません。

したがってLとRを区別できないのは、むしろ日本語話者として正しい良い耳をしていると思ってよいと考えます。

31.
聞き取れなくてもいいです。あなたは日本人なので"L"と"R"をどちらも「ラ行」として聞くよう訓練されています。ただし自分は聞き取れなくとも英会話をする上では、"L"と"R"の発音を言い分けできるようにしなければいけません。

32.
Lの音は舌先を前歯の下裏に押し付けて、舌を放した瞬間に鳴ります。

これは日本語の世界では絶対に聞こえない音ですので、ネイティブ スピーカーと一緒に練習して耳の役割をしてもらい、「こうするとLの子音は鳴るんだ」と物理的な動作で覚えてください。

33.
Rの音は息が舌で作った狭い隙間を、息の圧力で通す瞬間に鳴ります。この鳴らし方には様々な方法があり、それぞれ厳密には違う音なのですが、現在の世界ではこの「狭い隙間を通る瞬間の音をRとみなす」という合意が形成されています。

Rの鳴らし方として具体的には次のようなものがあります。

(1) 舌根(ぜっこん)をあげて狭い空間を作る、アメリカ英語のR

(2) 舌の前側をあげて狭い空間を作る、イギリス英語のR

"R"は日本語の世界では絶対に聞こえない音ですので、ネイティブ スピーカーと一緒に練習して、「こうするとRの子音は鳴るんだ」と物理的な動作で覚えてください。

34.
この両者の区別は明確で、口を開いて(口唇(こうしん)を解放して)息を声帯に当てて生まれる振動が”H”、下唇を上の歯に当てそこに息を流して生まれる振動が”F”です。

これは日本語のヘボン式のローマ字表記からもわかります。nは(Ha)、ひ(Hi)、ふ(Fu)、へ(He)、ほ(Ho)nとなりますが、なぜ「ふ」だけが"F"なのだろうと思ったことはありませんか?

これはほかの音は全部口を解放して息を流していますが、「ふ」の音だけは唇を閉じて下唇と歯を密着させそこに息を流し込むと思います。これが英語としてきくとFの音に近いため、Fが当てられているのです。

35.
日本語の「う」は喉をしめる方向で発音するため、日本人にとって”Hu”はとても難しく自然には発音できない音となっています。したがって英語の母音である”U”を習得するのが望ましいのですが、それは時間がかかるのでとりあえず日本語の母音でもいいので喉の力を抜いて”Hu”と発音していきましょう。

そしてこれはできなければいけないのか、というと"Hu"の音に関してはできないといけません。必須です。理由は疑問詞の”Who”(発音記号:húː )をはじめ、英語として決定的に重要な単語で”Hu”の音がたくさん使われているからです。そのため発音や聞き取りができないと致命的になってしまいます。

今この瞬間完璧にできる必要はありませんが、1年後にはなんとなくできていることを目指して、発音指導者と地道に練習することが望ましいです。また、できるできないでいえば"Hu"の音は脱力の方向性の訓練なので、日本語を母語としていても練習すればでできるようになります。

36.
この両者の区別は明確で、唇だけを合わせて息を流し濁音を出すのが”B”、上の歯の下を下唇に当てて息を流し濁音を出すのが”V”です。

なおヘボン式のローマ字表記で「はひふへほ」は”Ha, Hi, Fu, He, Ho”ですが、「ばびぶべぼ」は”Ba, Bi, Bu, Be, Bo”となっています。この理由は自分で言ってみればわかります。バ行はすべて唇同士を合わせて発音し、振動に歯を使っていないため”V”の音が鳴らないのです。

37.
“S”は舌を下の歯につけたまま息を流す音、”Sh”は舌を下の歯から離して息を離して息を流す音です。この違いは日本語の「さしすせそ」が”Sa, Shi, Su, Se, So”と表記されることからもわかります。実際にやってみると「さすせそ」はすべて舌が舌の歯についたままで、「し」だけが舌が舌の歯から離れることがわかります。この「し」を発音するときに舌を離さないと、”Si”になるのです。

38.
日本語では”Si”、”Shi”、”Thi”の区別をしませんが、日本語話者にとってこの3つの中で最も難しいのがこの”Th”です。

“Th”の子音は、舌を上の歯の裏につけて息を勢いよく流し込み、息の圧力で舌が離れた瞬間に鳴る音です。総じて日本人はこの息を勢いよく流し圧力をかける種類の音が鳴らせません。しかし英語においては、この息を流してその圧力で唇や舌を動かした瞬間の音が子音としてよく使われるため、訓練してできるようになるのが望ましいです。

39.
ドイツ語には英語でいうところの"Th"の音がありません。これをネタにして、ベルリッツが"German Coast guard"というCMを過去に作っています。
https://www.youtube.com/watch?v=yR0lWICH3rYn

動画内ではドイツ人が、"Th"と"S"の違いを聞き取れず発音できないことが表現されています。なお研究用として素晴らしい動画ではあるのですが、もしこれの日本人版をやったら、差別だといって大炎上間違いなしの気はしています。

40.
日本語の呼吸のまま無理やりそれらの子音をひねり出そうとすると、噛むという方法論になります。日本語に無い音の感覚をつかむために練習として使ってみてもいいですが、英語の発音では噛む動作は無いため、恒常的にそういう音だと認識しそういう発音を続けるというのはやめたほうが良いです。噛むとは食べるために行う動きで、話すためのものではありません。

41.
これらの子音は口の筋肉、唇、舌、そして歯などを使って蓋(ふた)をし、そこに息を流し込んで圧力で吹き飛ばすときに鳴る音となります。この時日本語は息が浅い言語なので、口の中の息のみ使って発音するため、英語の息のような圧力を出せないのです。

これは日本語が蛇口を少しだけひねって水を出す言語で、英語が蛇口を全開にひねって水を出す言語だと思うとイメージしやすいでしょう。

体の底から息をブワーっと出す言語は息に圧力がありますが、日本語は口の中、ほっぺの中の息しかありませんので息の圧力がとても弱いです。しかし出口の側を無理やり締めれば、この圧力を強制的に作りだすことは可能です。これが唇や舌を噛んで発音するという方法と、それで実際に”F”や”Th”と認識される音が鳴る現象のカラクリです。

もう少しいうと、蛇口に付けたホースをイメージしてください。水を遠くまで飛ばすのが”F”や”TH”の音だとします。このとき蛇口から出る水が多ければわずかな口先の締めでも遠くへ飛びますが、水圧が低ければ思いっきり口先を狭くしないと遠くまで水は飛びません。発音するときに噛むというのは後者のような状態だと思ってください。ホースから出る水さんはとてもか細く、非常に苦しそうですよね。

42.
日本語では「やいゆえよ」となっており、ヤ行のイの段とエの段の子音が存在しません。

そのため日本円(エン)は"Japanese Yen"という英語表記がされているのに"Yen"を発音できる日本人は誰もいない、という奇妙な状況になっております。ただし日本人が「エン」と言ったとき、外国人からしたら"Yen"の方が発音が近いと感じている可能性はあります。

それはさておき、Ear(耳)とYear(年)をはじめ、ヤ行のイの段が言えないと英語の重要な基礎単語の区別がつかずコミュニケーションに致命的な影響を与える可能性があります。そのため聞き取りはともかく、「ヤ」行のイの段は発音できた方が良いでしょう。

この訓練のとっかかりとしては日本語のほかの"Y"系の音を頼りにできます。「あうお」といった後、「やゆよ」と言ってみてください。「あうお」は完全に舌の前側がリラックスしているのに対し、「やゆよ」はすべて舌先を折る方向に使いそこに力が入ると思います。この舌先の使い方で、「Yい」と言うとYの子音が先頭に入ります。これがヤ行のイ段の子音の方向性です。

なお特別な訓練を積んだ日本人を除き、日本語話者にはちゃんとYの音が入っているか区別がつきません。そのため本当に英語として"Y"が入っているように聞こえるかは、かならずネイティブか、中国人か、フィリピン人辺りに確認をしてください。

43.
基本的にはその英単語が持つ母音の数だと思っておいてください。英語のリスニングにおいて最も重要なのは、この音節だと言って過言ではありません。短母音(a, i, u, e, o)はもちろん、二重母音(ai, ou, ei)や長母音もすべて1音節として数えます。

ただし英単語の最後の"e"など、単語内にあるけれども読まない母音は音節として数えません。

44.
英語とは音節でリズムを刻む言語だからです。英語ネイティブは、英語ネイティブと非ネイティブの最大の違いを、この英語のリズムができているかどうかだと感じています。

逆に言うと、この音節で刻むリズムを聞けないと、未来永劫ネイティブの英語が聞き取れるようにはなりません。

ただし英語のネイティブでも、自分がリズムを予測して聞いていると気付いてない人は多くいます。これは日本人が自分たちが日本語を話すときに、高低アクセント(例:橋、箸、端の違い)を意識しておらず、それを自分が聞いていることにも気づいていないのと似たようなことです。

45.
必ず覚えておかなければならない規則をいくつか書きます。

・英単語の最後の"e"は原則として発音しない。そのため音節は無い。
例:Case(1音節)、Charge(1音節)、Table(1音節)

・単発で出てくる"o"は多くの場合、「オゥ」である。
例:Hotelは「ホテル」ではなく、「ホゥテル」である。

・英語には日本語でいう小さい「ッ」(促音(そくおん))は存在しない。

46.
いろいろありますが、何か一つ上げろと言われたら英語は息を流しっぱなしにする言語で、日本語は息を区切って止める言語であるということです。

なお英語には小さい「つ」つまり「っ」はありませんが、これは「っ」を発音すると息の流れが喉で止まってしまうからです。この息の流れが止まってしまうと、英語という言語で最も重要な音節で刻むリズムが崩れてしまうので、英語をしゃべるときには「っ」を入れてはいけないのです。

47.
あまり知識ばかり増えても頭でっかちになって不自然な発音になってしまいますし、知識で日本人の英語の発音が良くなるならもっと多くの人が英語を話せるようになっています。そのうえで、知っておくと役立つこと知識は次の通りです。

・喉が振動する有声音と、喉が振動しない無声音がある。たとえが"F"は無声音で、"V"は有声音となる。
ネイティブが指導するときに、「"F"の時は喉が震えないが、"V"の時は喉が震えるんだ」というのは
この話です。

48.
あなたが十分英語を勉強し聞いてこられたという前提に立ちますが、その場合先頭の”If”が聞き取れないのは”I”の音の認識が誤っているためです。

ネイティブは意識していませんが、英語の”i”の母音には実は2種類あります。それは日本人が思う「い」の音に近いガチガチの”i”と、舌がリラックスした状態の”i”です。日本人が聞き取れないのは後者です。

両者の違いは何かというと、まずは日本語で「い」の音を発音してみてください。舌の側面が緊張し力が入ると思います。こちらがネイティブが、めっちゃ言いたいことを強調したいときに使う”If”の”i”の音です。”If you say so,” という表現で例えると「もし、おまえがそういうなら、」という雰囲気の時にこのように発音されます。

逆に日本人が聞き取れない方の”i”は舌の両側がリラックスしており、日本語の母音でいうと「え」の音に近い舌の状態で発音されます。”If you say so,”という表現で例えると「まぁおまえがそういうなら、」くらいの時に使われます。

そして私たち日本人もそうですが日常生活では後者の表現の方が多いです。だからあなたは、英語ドラマで出てくる先頭の”If”が聞き取れないのです。

49. IPA(International Phonetic Alphabet:国際音声記号)では区別されています。http://www.coelang.tufs.ac.jp/ipa/vowel.php

50.
私はここでは外国人との英会話を、音に支障なく行えるレベルを到達目標にしたいと思います。

英語、日本語にかかわらず、リスニング力にはネイティブでも差があります。また日本語でも話者の滑舌が悪いと聞きとりづらいですし、ドラマやアニメでは聞き取りにくいと思うことはありますし、さらにはネイティブでも聞き間違えることもあります。

私はCNNを10年間ほぼ毎日聞きました。FOX NEWS radioを1年間聞きました。アメリカ映画もドラマもたくさん見ました。その経験を踏まえ、FOX NEWS Radioを聞き取れれば問題ないという結論に達しました。

CNNはとても聞き取りやすいのですが、司会がハッキリしゃべりすぎているため単語が拾えてしまいます。一方でFOX NEWSはアメリカ人が普通にしゃべっているので、TOEICのリスニングが満点でも一言もわからないという事態に余裕で陥ることができます。そのうえでFOX NEWS Radioのネイティブの英語が聞き取れなければ、十分なリスニング力とは言えません。音声が多少悪くても、集中すれば日本人は全員日本語のラジオを聞き取れると思います。それと同じです。

いっぽうで映画やドラマは、極端なことをいえば聞き取れなくてもかまいません。日本語の映画やドラマでも俳優が何を言っているかわからないことは時々あります。それと同じです。また映画やドラマは脚本で決まった通りにしゃべるので、しゃべってる内容は絶対に相手のキャラに通じます。極端なことを言えば相手に通じなくても、劇は進行します。

しかしラジオはホストとゲストがぶっつけ本番でしゃべっているため、絶対に通じるレベルでの発音をしています。長々と書きましたが、このあたりのことは日本語の環境に置き換えればよくわかると思います。

12. 英語のつづり

51.
例えば「行」を意味する"Row"(ロウ)という単語ですが、"Row"(ラウ)と読んだら「喧嘩」を意味します。"Soup"(スープ)は最後のPを発音しますが、"Coup"(クー:クーデターのこと)は最後のPは読みません。万事この調子です。

これは一言でいうと、英単語の読み方を覚えるとは、日本語の漢字の読み方を丸暗記するのと同じだと思ってください。一定の規則性はありますが例外が多すぎて、最終的には力業の暗記力勝負なのです。怪盗が「カイトウ」で、怪我が「ケガ」なのはなぜですか? 理由はありませんよね。それと同じで丸暗記するしかないのです。これが英語は発音とつづりが一致していないということです。

52.
例えば2020年夏の「Go To キャンペーン」ですが、同じたった2文字で後ろが"o"という単語なのに"Go"(ゴゥ)と"To"(トゥー)で違います。前者は"o"を「オゥ」と読み、後者は"o"を「ゥー」と読んでいます。

また例えば同じ"ou"という記述でも「~すべき」はShould(シュド)で、「肩」は"Shoulder"(ショウルダー)です。

日本語の漢字と同じで、このような読み方の例外をひたすら丸暗記するのが、英会話で使える英単語を増やすということなのです。

53.
はい。した方がいいというか、英単語を調べたときは必ず毎回発音記号を確認してください。日本語で漢字や熟語を調べたときに、読み方を調べるのと同じです。

また母語の日本語と違って、あなたは英語の音を自分で正確にイメージできませんから、単語を調べたときはその音声も音で確認してください。

54.
恐ろしく苦労しています。例えばスペイン語はアルファベットをローマ字読みする言語です。したがって私が実際にグローバルの電話会議に参加したとき、英単語の"Allow"(アラゥ:許す)を「アロゥ」とローマ字読みしているのに遭遇しました。アルファベットをローマ字読みする言語圏の人にとっては、英語を習得するとは「アルファベットの英語読み」をひたすら丸暗記することから始まります。しかしうっかりすると、ローマ字読みが出てしまうのです。

この丸暗記の作業は苦痛ですし、同じ文字を違う読み方をする訓練は発狂しそうになります。また教育機会が無いと自然には身に付けることができませんので、アメリカには何千万人も英語をしゃべれないスペイン語を第一言語とするヒスパニックの人たちがいます。

55.
はい、あります。過去にアメリカ人が「俺はスペイン語の読みは苦手なんだよね。」と言っていたのに遭遇しました。例え"Boat"は英語読みだと「ボウト」ですが、ローマ字読みだと「ボアト」となります。英語が第一言語の人たちは”oa”という母音を見たら「オゥ」と感じるように徹底的に訓練されています。そしてそこから外れると英語話者ではなくなってしまうため、ローマ字読みというのは英語圏の人たちにとって、追加で練習しないとできません。

56.
はい、大変です。ですから日本人の大人が漢字を書けずに忘れてしまうように、英語ネイティブにも手書きでは正しく単語のスペルをかけない人が山のようにいます。例外が多すぎてそんなこといちいち覚えていられないからです。

またこの発音とつづりが一致していないというのは人体にとって負担が高いです。そのためディスレクシア(難読症)の発症率は今なおアメリカでは10%である、という話もあります。これは「英会話はできるが、英語の文章を書いてある通り読めない」というものです。発音とつづりが違いすぎて、その大量の例外を習得できない個体がネイティブですら頻繁に発生するのが英語という言語なのです。

なお日本語は漢字を読めない人や意味を知らない人は大量にいますが、ひらがなが音の定義をしていますので、フリガナを振れば読むことはできるという言語仕様になっています。

57.
表音文字は文字が音をあらわし、表意文字は文字が意味をあらわします。日本語でいうとひらがなやカタカナは表音文字で、漢字は表意文字です。例えばひらがなの「か」は音を表しますが、そこには意味の情報はありません。漢字は一文字一文字に意味を持っていますが、そこに音の情報はありません。

ただしこれは一般論なので、私は自然言語を機械的にどちらかへ完全に区分することは難しいと思っています。

58.
一般的には表音文字に分類されます。

しかし学習者は「表音文字、兼、表意文字」とみなすのが学習時の精神衛生上良いと思っています。理由はあまりにも例外が多すぎて、英語の難解な規則をせっかく一所懸命に覚えてもそれに期待しすぎると、例外に遭遇するたびに発狂しそうになるからです。英単語というのは日本語の漢字と同じで、ある程度の規則性はあるが、大量に読み方の例外があると思っておくのが望ましいです。

59.
絶対に覚える必要があります。理由は発音とつづりが一致していない英語という言語において、発音記号が唯一の音を知る手段だからです。

英語の発音記号は日本語の漢字に対するフリガナだと思ってください。読み方を知らない漢字は、フリガナが無いと絶対に読めません。

なお発音記号にもいろいろな種類がありますが、私は日本の英和辞典に使われているタイプの発音記号を使っています。

60.
彼・彼女らは覚えていません。英単語を見て経験則で音を推測できると思っているからです。

61.
これはもうバラバラです。私は何百人ものネイティブの英会話の先生達と会話をしましたが、英単語の読み方を記述で説明する場合はローマ字読みできそうな独自の表記をする人、英単との説明をするのに英語の音を前提として書く人、いろいろいました。ただし発音記号を使う人にはあったことがありません。知っていても、生徒が知らない可能性が高いので、使わないのかもしれません。

したがってこれに関してはあまり深刻に考えず、この人はこういう記述方法で説明をするんだなとだけ思って、ネイティブの先生が発音する実際の音に集中するのが良いでしょう。

13. 英語のスピード

62.
TOEIC 600点ぐらいで語彙が十分あるのに読むスピードが遅い人は、「英語は語順が意味を持つ言語」だということへの認識が足りていません。具体的に言うと5文型というやつです。この5文型は日本人が英語を学習するのに決定的に重要で、だから英文法書でも一番最初に出てくるのです。

例えば”I have a pen.” という英文を例にします。先頭の“I” を見てあなたは何を感じますか? おそらくあなたは”I” を見て「私」と感じ、”I have” まで見て「私は持つ」と感じていると思います。

これでは遅すぎます。速く読めるはずがありません。徒歩と馬ぐらい違います。n英語は語順が意味を持つ言語とはどういうことかというと、”I have a pen.”の先頭の”I” を見た瞬間に「私は」だと感じるということです。日本語は助詞(てにをは)がある言語で名詞だけでは助詞の意味を持たないため、日本人はこれが分からないのです。

「語順に感想を持つ。」これを徹底的に訓練すると、あなたの読解と聞き取りのスピードは何倍も速くなります。語順に感想を持っていない状態では、英文を読んだときに情報を50%落としていると思ったほうが良いでしょう。

もう一つ例を出しておきます。先頭の“Do” をみて次に”I” が来ていたら「私は~しますか?」という助詞込みの日本語と同じ感情を持ち、”Do”の次に”it.”がきていたら「やれ。」という命令文だという感情を持つということです。この「語順を見て、日本語の助詞がついた文章と同じ感想を持つ」ということが、英語を英語のまま速く読むために決定的に重要です。

63.
そんなことはありません。語順が意味を持つ言語ですので、どの位置に主語、動詞、目的語、疑問詞、分詞が出てくるかによって、日本語の助詞と同等の情報量を英語の文章は持っています。

もし納得がいかない場合はアメリカの大統領の演説を思い出してください。オバマさんもトランプさんも、演説台で全国民に語り掛けるときは、ゆっくりハッキリと話していますよね。もし英語が速く話さないと文章として伝わりにくい言語なら、このようなことはあり得ません。

64.
ここでは「言語の話すスピードとは母音(音節)がきざまれる間隔である」と定義します。このスピードの定義無しには、速いとか遅いとかを議論することはできません。

そのうえでまず英語も日本語と同じで、話者や状況によって話すスピードが大きく変わってくるということを再確認してください。例えばトランプ大統領が国民に向かって演説で話すときは、わかりやすく確実に伝えるために非常にゆっくりハッキリ話します。この速度が日本語より早いなどということはありません。ではトランプさんはいつもゆっくり話すのかというとそんなことはなく、ネイティブ同士で砕けて話しているときは、めちゃくちゃ速いです。

次にスピードですが、正直言って英語は別にそんなに速く話す言語ではありません。音節の刻み方でいうとハッキリ言って日本語と大して速度に変わりはありません。では何が違うかというと、英語は日本語と比べ1音節中の情報が何倍もあるのです。

具体例を1つだすと、ストローは日本語では「ス、ト、ロ、-」で長音も含めると4音節とさえ言えますが、英語は”Straw”で1音節です。つまり日本語で「ス」と言ったときに、英語では”Straw”が全部終わっているのです。だから英語は日本語に比べてはるかに高速でしゃべっているように、日本人には感じられるのです。

21. 日本語の音

65.
はい、日本語の音が簡単なことによる問題はあります。その最大のものは同音異義語(同じ音で意味が違う単語)が世界一多いことです。たとえば「コウショウ」とパソコンかスマホでうって変換をかけたら何十個も候補が出てきます。そのため日本語は文脈で推測したり、目視で漢字を見たりしないと、正確に意味が分からない言語になってしまっています。

この音の衝突が致命的な場合は、言い変えて運用で回避している場合もあります。たとえば歯医者が抜糸(バッシ)を抜歯(バッシ)と間違えたら患者の健康な歯を抜いてしまうという致命的な結果となるため、抜糸(バツイト)と読むような例があげられます。ほかにも私立(シリツ)と市立(イチリツ)などが有名どころです。

66.
中国語は日本語よりも何千倍も音が複雑です。日本語は50音順の通り1文字で最大50個の音ですが、中国語は子音×母音×声調の組み合わせで何千通りもの音を表現できるため、何千個もの漢字を全て短い発音で言い分けるということができます。私には信じられませんが、実際に彼らはやっています。人類の可能性の奇跡としか言いようがありません。

もちろん中国語でも同音異義語はありますが、そのほとんどが文脈上誤解を生まないものに限定されているようです。

67.
大きく3つあります。

(1)日本語力が高くない外国人労働者にも、業務用語だけで接客業をしてもらえる。

(2)発音の習得に訓練をしなくていい。

(3)歯並びの影響を受けにくい。

(1) 他のFAQでも述べましたが、現地の言葉がわからない日本人がアメリカや中国に行ったら、まったく聞き取れず、まったく言葉が通じず接客業につくなんてとてもできません。何か月も、場合によっては何年たっても無理でしょう。しかし日本語の音は簡単なので、中国人やベトナム人も数週間の基礎訓練だけで牛丼屋や飲み屋であっさり働けます。

(2) 発音が難しい言語は人体にかかる負担が高いため、子供が習得するのも非常に難しいです。アメリカであれば学校に発音専用の講師が雇われ、発音がうまくできない子供を支援するような体制があります。中国であれば義務教育の過程で、発音ができるようになるまで、子供が泣き叫んでも徹底的にできるまでやらせます。しかし日本語は発音がとてもとても簡単なので、学校教育において発音習得に特別な訓練をするというのはまずありません。

(3) 発音が複雑な言語は息、喉、舌を非常に難しく使い、音を区別します。そのため舌先が触れる歯並びが極端に悪いと、物理的に発音できない音ができてしまいます。一方で日本語は極端に歯並びが悪くても、聞き取れないほどの発音になることはめったにありません。日本人が外国に比べ歯並びに無頓着でいられるのは、それが発音に致命的な影響を与えないためです。

22. 子供の英語教育

68.
外国語を習得したときに母語に無い音を習得するには、何歳までにその外国語の音を身に付けなければならないという俗論があります。私はこの臨界期と呼ばれるものには2段階あると思っています。

一つ目は日本語の文字と音を学ぶ前です。3歳だと遅いといわれる臨界期はこのタイミングです。言語というのは日本語の音のことを指すのだと、その個体が認識してしまうとそれ以上音を増やそうとしません。たとえばLとRや、SとShとThを区別したらそれは日本語ではありませんから、むしろ同じ音だと認識するよう体ができていくことになります。

二つ目は肉体の喉頭(こうとう)機関が成長しきる前です。英語圏に留学して発音が英語っぽくなるために中学生ならギリギリ、高校生ならもう遅いといわれるタイミングです。人間の体は成長期に環境に即して変化するようにできています。したがって喉頭機関が成長期の間に英語の音を数年にわたって発音する環境にいれば、それができるように体は組成されていきます。

なお英語の読み書きについては、英文を読んだときに体が感じる音が日本語のままで良いならば、臨界期はありません。

69.
まずはこの「英語ができる」というのをどう定義するのか、きちんと考えてください。日本語に無い音を発音したり聞き取ったりできるようにするには、そういう訓練が必要です。しかしこれをできるようになったからと言って、英語の確かにリスニングでは有利ですが、言語力としての英語力が高いといえるとは限りません。日本語の受験単語集を丸暗記して5,000単語覚えた18歳と、発音はちょっといいけど100語しか知らない18歳と、どっちが良いのでしょうか? 少なくとも英語のメールをしっかりと読み書きしたり、英語の論文を読んだり書いたりできるのは前者です。

外国語というのは習得するのが恐ろしく大変ですし、さらに維持するとなると、その何倍もの努力の継続が必要になります。子供を英語話者にするとは、あなたが自分の人生でのんびり過ごし娯楽に費やしてきた全ての時間を、あなたの子供は英語習得に使うということです。あなたにその努力ができますか? できないから今あなたは英語が話せないわけですが、その自分ができなかった苦行を子供に本当に求めるのですか?

英語を身に付けるには、特に義務教育が終わるまでは、親が与える環境が極めて重要になってきます。ですがそれよりも何よりも、英語は本人が一所懸命に何年も継続して勉強しないと身に付きません。どうぞ自分ができなかったことに対して、あるいはあなたができたとしても子供は別の人間ですから、お子様への過度な期待をなさらないでください。肩の力を抜いて、ダメ元で英語をしゃべれるようになったらいいな、くらいの気持ちで取り組んで頂きたいと思います。

23. 日本の英語教育

70.
無駄ではありません。むしろ英語という日本語とは全く言語体系の違う言葉を身に付けさせるために、極めて良くできています。先人の苦労と工夫がしのばれます。ただし英会話をできるようにするための授業ではありませんので、英語の授業を受けたけれども日本人は英語が話せないのです。

71.
今なお英語の授業が英語を話せる授業へと変わらない最大の理由は、多くの日本人英語教師の皆さんが英語を話せず、文部科学省の皆さんが英語を話せないからです。英語が話せない人が教えて、カリキュラムを組んで、生徒達が英語を話せるようになるはずがありません。

なお日本の英語教育は明治時代に確立しましたが、一番最初の最初は外国人が講師をやっていたため、生徒は英語を話すようになったようです。しかし日本人教師になり、日本語で英語教育をするようになってしゃべれる教育では無くなりました。

ただこの最初の最初の英語教育体制は、そもそも生徒が超少数の明治の文豪のようなスーパー エリートだけだったので、成り立った面が高いと思います。ですので参考にできる部分は多いですが、日本全国一律で導入はできないと思います。もしかしたらオンラインを駆使すれば、世界は変わるかもしれませんが。

72.
これはそうとは言い切れません。日本人が英語と接する最大の機会は、英語でEメールを読み書きしたり、英語の文献を読んだりするときだからです。仕事においては英語の文法にのっとり、正確に読み書きできる能力が最も重要です。それがあれば会話力なんてゼロでも大勢に影響はありません。

ただこれからの時代、いきなり外国人とのWeb会議に参加することになったり、外国人のお客様を日本に迎えたりする機会は増えるでしょうから、英会話を使う機会のある日本人の絶対数も増えるでしょう。

73.
日本人の生徒が本当に正しく理解しているかを確認するには、本人に英文を日本語へと翻訳させる必要があります。母語ではない英語でやり取りをしたところで、本人の理解度をはかることはできません。

したがって英語教育の一環においては、英文を日本語訳する訓練は絶対に必要ですし、生徒の能力開発にとって非常に重要です。

何度も書きますが、2020年時点の仕事における英語運用において、もっとも重要なのは英語の読み書き能力です。英会話ではありません。

74.
私は外資系のITエンジニアとして働いていますが、外国の親会社が管理する基幹システムへの改造要求や、日本の子会社で行いたいプロジェクトの計画や管理など、徹底的にExcelとEメールを駆使して文書を作成し仕事を完遂してきました。

もちろん英会話の力も使いましたが、決定的に重要だったのはどちらかというと、相手が読む気が起きる英文を作成し、相手の言っていることを正確に把握する読み書きの力です。

75.
これは考え方の一つとしてアリだと私は思います。実際問題として2020年7月現在、アメリカ製のGoogle翻訳やドイツ製のDeepLの翻訳力は舌を巻く性能を出しています。おそらく近い将来、読み書きに関しては全部自動翻訳で実用上まかなえる世界が来ると思います。

しかし動物も吠え合うように、人間も音声を使ってのコミュニケーションが別の個体との意思疎通の基本となります。人間が自分の声で、自分の言葉で発するという行いとそれが持つ力は、今後も変わらないものだと思います。つまり英会話ができることが持つ可能性は、世界中のオンライン化が一方的に進む中で、ますます大きくなっていくと思っています。

なお業務において機械翻訳(日→英、英→日)をそのまま利用するというのは、何かあった時に機械翻訳が責任を取ってくれないので、あと5年は一般化しないと思います。機械の精度が99%でも責任を取ってくれないので、100%任せられないのは車の自動運転と同じです。

76.
日本人かどうかはともかく、英単語をいったん日本語の単語に置き換えていたら、英語を英語のまま理解するよりも速度が落ちるのは事実です。しかし考えてほしいのは、英語→日本語、あるいは日本語→英語にする速度はソコソコ早いということです。人称代名詞(I、You、Sheなど)や疑問詞(What、Who)やApple(リンゴ)など、使用頻度が高いものは英単語を見た瞬間に英語で意味を感じられるのが望ましいです。しかし英会話で出てこないような難しい単語を英語のまま理解する必要が本当にあるのでしょうか? ビッグワードでもPneumonia(肺炎)のような直感的にイメージがわく英単語ならばイメージとセットで覚えていいと思いますが、母語の日本語を介した方が早い場合は英語→日本語ルートを活用しても良いと思います。

77.
英文読解や英語の聞き取りで速度が出るようにするには、英語を英語のまま理解することが大切です。これを達成するにはいろいろやり方はあると思いますが、私は信頼できる英文と日本文の対訳がある文章を使って、意味を理解しながら「日本語を音読」しました。

そしてその次に英文を黙読して日本語と同じ感想を持つようにしました。なんのことはない。受験用例文集の英文と対訳を丸暗記するやり方の延長ですね。n実際の所、大人が外国語を習得する場合は母語を活用する方が有利だし、圧倒的に効率的です。逆にいうと3歳の子供はこれができません。

78.
私は政治家の茂木 俊充(もてぎ としみつ)さんの英会話を推したいと思います。東京大学経済学部を出て民間企業に勤務をしたあと、ハーバード大学大学院で修士号を取ったという経歴ですから、一般人が参考にするのはほとんど無理なところがあります。しかし彼の英語記者会見を見ると、記者の質問を完璧に聞き取っており、そして英語としてのツボを押さえた内容を日本人発音で堂々と受け答えをされています。
https://www.youtube.com/watch?v=b_I7aDLqtwk

外務大臣として国家100年の計を決めるTPP11の取りまとめをやり切った茂木さんの英語ですが、その中にはオーストラリア、カナダ、ニュージーランドといった英語ネイティブの国も含まれています。英語ネイティブを相手に交渉し、アメリカが抜けた後のTPPの11か国をまとめ切った英語力は、読み書き、聞く話すに関して日本人の可能性を示した最高の仕事だったと私は認識しています。

24. 語学留学

79.
私個人としては海外留学はしたことは無いと思っています。

しかしフィリピンの英会話学校に、1週間のコースで、2つの別の学校に行ったことがあります。これをどうみなすかは皆さんにご判断いただきたいと思います。この時私自身の英語力はTOEIC 900点でした。

80.
英語を身に付けるという点では間違いなく意味があります。ただその効率や効果については、どう準備するか、どう現地で過ごすかで、何十倍もの差があると思ってください。

なお語学留学が日本と違う最大の効果は、「日本語から自分を切り離せる」ことです。したがって、現地で日本語を話していたら、英会話の習得に関しては日本国内にいるのと、効果には大差がないと思ってください。

81.
英単語、英語の文法、そして英語の音の勉強です。どれも日本国内でできることなので、きっちりと準備するのが望ましいです。特に文法については、英語は文法に従って厳密に話される言語なので、習得は早ければ早いほど有利だし、一生使えます。またその習得レベルは、中学校の英文法を完全にマスターすれば問題ありません。高校英語の米文法は基礎的な部分を除き不要です。

82.
英文の読み書きをする時に絶対に必要だからです。たとえば英語圏に大学の学部留学をするなら、教科書を読むのにも、エッセイを書くのにも、日本の高校英語のレベルの文法力は絶対に必要です。

しかし英会話ではそんな難しいことは自分も他人も話さないので、語学留学で成果を上げたいのであれば、そこまでの準備は必要ありません。

83.
何をもって成功、失敗と判断するかによりますが、英会話力を上げたいということであればやることは一つだけです。「日本語から自分を切り離して、英語だけを頑張って勉強する」ということです。なお辞書は英和辞書を使ってよいので、単語や熟語の意味を調べるときは、あなたの母語である日本語を活用してください。

ただしいろんな経験をする、というような体験型の留学で良ければ日本人とつるんでもいいでしょう。しかし当たり前ですが、英会話力は伸びません。英語圏に行っても日本人とずっとつるんで日本語で喋っているくらいなら、日本国内で英語を引きこもって勉強した方が英語学習としては、後者の方が圧倒的に効果が高いです。

31. 英会話の練習

84.
それは英会話の先生達は日本人の英語に慣れており、日本語英語から言いたいことを推測するという特別なスキルを身に付けているからです。場合によっては推測スキルだけではなく、何を言ってるかわからないけど笑顔で流すというスキルを使っている可能性もあります。

85.
そんなことはありません。意味はあります。そもそも自分が話した内容が全く通じないと、心が折れてしまいます。英会話の先生達の日本人英語推測スキルのおかげて、通じない英語であってもとっかかりの練習ができるわけですので、日本人は大いに活用するべきです。

だいたい発音の練習を始めても効果が出るのは1年後とかそういう時間軸なので、英語として何を言ってるかわからなくても、まずは話し始めないと何も始まりません。

ただし自分の英語が日本人英語を知らない圧倒的多数派の外国人に通じるかどうかを確認するため、ときどき武者修行をしたり、自分の英語が通じるか他の英会話の先生に聞いたりするのが良いでしょう。

なおいつもお世話になってる英会話の先生に自分の英語が通じるかどうかを聞くのは、その後の関係がギクシャクする可能性があるので私は勧めません。

86.
これは難しい問題です。私はやめた方がいいと思います。なぜなら、発音の指摘は人間関係を壊すからです。そもそも日本人はできていない音が多すぎるし、改善しようと思っても3か月、1年単位で時間がかかります。毎回指摘を受けていたらウンザリして、英会話を楽しむことができなくなってしまうでしょう。

そのため私としては、発音の練習は通常の英会話の先生とは別に指導者や機会を用意して、練習をするのが良いと思います。あるいはどうしてもなじみの講師に習いたいのなら、できていない、あるいは打率の悪い子音を一つだけ練習して、3か月はほかの子音には手を出さないようにするのが良いでしょう。

87.
英会話の初級者ならば使っても問題ありません。何も話さないよりは話した方がマシです。ただし中級者以上を目指すのであれば、すべてのカタカナ語を英語の音で覚えなおすという訓練をする必要があります。理由はそうでないと通じない、あるいは誤解を招く致命的な基礎単語が大量にあるからです。

例えば”Boat”(小舟)はカタカナ語では「ボート」という長音ですが、英語では”ボゥト”という二重母音の”オゥ”となります。一方で買う(Buy)の過去形は”bought”でこちら英語では”ボート”という長音になります。もし日本語で「私は公園で買った乗った。」なんて言われたら良くわからないですよね。聞き手に対して毎回脳内変換をさせる負担をかけないためには、ちゃんと「私は公園で小舟に乗った。」と言えるようになる必要があります。

88.
まずカタカナになっている英単語については、4種類のうちのどれであるかを判断してください。

(1) 意味は同じで、発音も英語に似ている。

(2) 意味は同じだが、発音が英語と違う。

(3) 意味が違うが、発音が英語に似ている。

(4) 意味も発音も違う。

(1) 英語として通じるし、カタカナのまま使っていいのはこの(1)だけです。例としてはSong(ソング:歌)などがあげられると思います。厳密には全然違いますが、今までソングで通じなかったことはありません。

(2) これは英語の発音を覚えて、発音しないと通じません。例としてはBeer(ビール)、Coffee(コーヒー)などがあげられます。あと英語から来たカタカナ語だと思っていたら、実は由来はドイツ語だとかフランス語だとかいう場合もたくさんあるので、カタカナ語を見たら毎回辞書を引くほうが望ましいです。

(3) これは誤った意味で言葉を使い、致命的な結果になる場合があるのでとても注意が必要です。有名なところではマンションという単語があります。英語では超豪邸で、日本語では鉄筋コンクリート造りの分譲住宅全般を指します。日本語でいうところのマンションは、英語ではすべてアパートメントです。

(4) これはもう新しい英単語として覚えましょう。たとえばノートパソコンが挙げられます。英語ではすべてラップトップ(膝上)が、日本語でいうところのノートパソコンを指します。

32. 英語のアクセントの違い

89.
これは非常に繊細な問題であり選択です。日本人も日本語訛りの英語を許容してもらっていますし、他国のどの英語が良いなどと優劣をつけるのは良くありません。

ただし現在の世界の事実上の標準(デファクト スタンダード)として、「アメリカ英語は聞き取れなければならない。」というのがあります。文化的な優劣はありませんが、ほかの国の英語は聞き取れるけどアメリカ英語は聞き取れない、というのでは国際社会の英語コミュニケーションで通用しないし、ビジネス スキルとして役に立たないというのは覚悟しておきましょう。

90.
そんなことはありません。ただしアメリカ英語以外の発音を学ぶ場合は、その英語がデファクト スタンダートとされるアメリカ英語とどの程度の距離があるのかを知っておく必要があります。

例えば標準的なアメリカ英語は、標準的なイギリス英語と距離が非常に近いです。しかしスコット ランドやニュージーランドの英語とはかなり距離がある、というかネイティブですら、何を言っているか本気で方言で喋られたら聞き取れないくらい違います。日本でも戦前、ほんの80年前まで、標準語話者は鹿児島弁や東北弁の話者と口語で意思疎通ができませんでした。それぐらい方言が強いと音声コミュニケーションには影響が出るのです。

あまり輪郭のハッキリしない書き方になってしまいましたが、結論として「現在の世界では、デファクト スタンダードである世界一の経済力を持つアメリカ英語は聞き取れなければいけない。」ということだけは必ず意識しておいてください。それさえ押さえておけば、後は自由でいいと思います。

91.
まずはその国のアクセントが身につくと、その国の人たちから親近感を持ってもらえるというのがあると思います。日本でも地方から出てきた人が同じ方言を話す地元の人を見つけると気のせいか親近感を覚えるように、言葉の訛りというのはその人のアイデンティティーとなりますし、なんとなく仲間意識を感じるのが人間という生き物です。例えばですがオーストラリア訛りがうつったらそれはそれで、オーストラリア人からはウケる可能性がありますので問題ないと思います。

二つ目はアメリカに留学したところで、英語が身につかないなら英語学習としては意味がないということです。例えば確かにニュージーランドは人口500万人の島国でニュージーランド訛りの話者数はアメリカ訛りの3億人と比べると少なく、またニュージーランド人自身がネタにするように、同国の訛りで話されると他の英語圏ネイティブがさっぱり聞き取れないようなことがあります。でも学習環境として英語を身に付ける機会が得られるのならば、アメリカに行って身につかないよりもニュージーランドに行ったほうが全然良いと思います。

一度しかない自分の人生なので、自分の好み、年齢、期間、タイミング、経済状況などに影響を受け、考慮し、自由に選択されるのが良いと思います。

92.
AIR NEW ZEALAND(ニュージーランド航空)が過去に作った広告の例があります。中国語を話せる英語ネイティブのサンタですら、同じ英語であるはずのニュージーランド英語は聞き取れないというストーリーです。https://www.youtube.com/watch?v=M3Q_3a7HfA0

41. 国内学習組の英会話

93.
英会話の指導や教材に関しては、「本人が自分で英語をしゃべっているか」をまず確認してください。

その指導者が日本語訛りの英語でも全く問題ありません。時には指導者本人がまだうまくできないことがあったり、時には間違ったことを言ったりすることもあるでしょう。でもそのような場合は必要に応じて差っ引いて話を聞けば問題ありません。

一方で自分の英会話力を世にさらしていない人は、英会話指導者や教材販売者として信頼を置くに値しません。本人の英会話力に営業秘密は無いです。もし自分の英会話力をさらすと商売上都合が悪いとしても、それができない人を信用してはいけません。その人は自分で英語を話しているあなたよりも、英会話力がありません。

その点を除けば相性などもあるため、極端に間違ったことを言っている人で無ければ、自分がやる気の出る人に師事したり、動画を見たり、指導サービスを受けたりすれば良いでしょう。

94.
信じるのはあなたの自由です。しかし原則として、人間は自分ができない、やっていないことは他人には教えられません。基本的に海外生活を経て英会話を身に付けた人は、国内学習組に英会話ができるようになる方法を教えられないと思った方が良いでしょう。

もちろん大好きな尊敬する先生に直接そんなことを言ってはいけません。雰囲気も出してもいけません。ですが心のどこかには「この人は海外生活で英語のリスニングや発音を身に付けたんだよな。」というのを置いておく必要があります。

なお逆説的ですが、「私は英語圏に留学していたから、日本国内にいるだけで英語を話せるようになる方法はわからない」と正直にいう先生は誠実な可能性があります。そういう人は日本人が英語を話せるようになる難しさや、客観的な学習環境の違いをきっちりと認識し、それと正直に向き合っていると私は考えます。

95.
あなたの心を守るため、そしてあなたの努力を最大限結果につなげるためです。

例えばあなたはその先生に心酔し指導に従い一生懸命努力して、いつまでたってもできるようにならないとします。そうするとどうなるかというと、あなたはできない自分をなんでダメなやつなんだと責め始めます。先生は日本国内でも英会話は身につくと言っているのに、自分は全然ネイティブの英語が聞き取れるようになれず自己否定に陥ります。そして英会話の勉強や練習をやめてしまう可能性すらあります。

このような時に、あなたの先生が英語を身に付けた環境と、あなたの学習環境との違いを客観的かつ冷徹に見比べ、では自分のいる環境ではどうすれば良いのだろうかと自分の頭で考え実践することが、日本人の英会話の習得においては決定的に重要となってきます。

なりません。物理的に不可能です。

英語を話すというのは物理的な運動なので、発声が伴わない聞き流しをどれだけやっても、絶対に英語を話せるようにはなりません。

特に日本人の場合は発音できない英語の音がとてもとても多いので、英語を話せるようになるには、明確で物理的な大量の発話の訓練が絶対に必要です。

42. 英会話の学習教材

96.
CNNもFOX NEWS RadioもどちらもPod Castにありますので、無料で聞けます。ただ私はFOXの方はAmazonのAlexaで"Alexa, FOX News"と呼び掛けて聞いています。nnPod Castの方のFOX NEWS radioは、4~5分で1音声になるため、学習教材としてはとても使いやすいと思います。nnなおお金ですが、学習効率のためには必要に応じてかけたほうが良いと思います。私は5年前にCNNのケーブルテレビ視聴を契約しており、自宅で見れるようにしています。最近は見ていないので掛け捨てになっていますが・・・

97.
悪くはないですが内容によって学習効率が大きく変わることに常に留意してください。例えば日本語で「てーか、おめー、マジかよ・・・。」というセリフがあったとします。何一つ難しいことは言っていませんが、どれも教科書に載っていないため一言も理解できない外国人の日本語学習者の方が多いでしょう。同じように英語のドラマにおいて、省略形やスラングが使われると学習者はまったく聞き取れない状況に陥ります。もちろんそういう俗な表現も含めて言語ですから知っててダメなわけではありませんが、ノンネイティブがそれらを学ぶのは最後の最後か、ネイティブの友人としゃべってたまたま知る程度で良いでしょう。

98.
学習効率という点ではシチュエーション コメディ(Situation Comedy:シットコムと略される)一択です。根本的に円者間の会話で笑わせようとする分野であるため大量の会話がありますし、また原則として、演者は全員ハッキリくっきりと発音します。

なお一部のシチュエーション コメディに含まれる「ははははは」という声は、"Canned Laughter"と呼ばれます。

私は違うと思っています。まず私は、発話の物理的な練習は毎日少しずつ積んでいます。

次に私は英語のニュースを聞くとき、他の作業はしていません。どこまで集中力を保てているかは別にして、「英語ニュースを聞くときはそれだけを行う」ようにしています。

ただひたすら英語を聞くというのは、リスニング力を伸ばすうえで重要な訓練です。しかし少なくとも内容が30%理解できるもの、あるいはスクリプトを事前や事後に確認できるものを必ず教材として利用してください。

まず、発音に関しては母語の癖が残るため、大人が自然に英語の発音になるのは不可能です。

ただ英語力に関していうと、本当に幼児と同じ環境で同じだけの量を大人がやれば、たとえば3年で極めて高度な英語力を身に付けることは可能だと思います。

しかし現実的には不可能です。なぜならば幼児は生後3年ほどは、自分の起きている時間のほぼすべてを言葉の習得に費やしますが、大人はこれだけの環境と時間と根気を手に入れるのがほとんど無理だからです。

幼児は常にネイティブ スピーカーが自分のそばにいて自分に語り掛けてくれて、何か話そうとしたら一所懸命に聞いてくれて、間違いがあったら指摘をしてくれて、そして何よりも何千回もの同じことの繰り返しを飽きもせずに繰り返します。

したがってネイティブの子供のように英語を学ぶという方法論を聞いたときは、果たして自分がネイティブの子供と同じだけの量を英語習得に捧げる根気があるのかどうかを、なによりも自分の胸に聞いてください。

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43. アメリカ人との英会話

99.
これは実は避けたほうが良いです。理由はFOX NEWS radioは音の教材としては素晴らしいのですが、アメリカ人からは右翼だとみなされるからです。特に英会話の先生達にはリベラル(原義は自由だが、政治的には中道左寄り)の人が多く、「FOX NEWSを視聴しているアメリカ人や共和党の支持者は差別主義者だ」というようなことを公言してはばからない人もいます。

日本人でもアメリカ人でもそうですが、外のお客様(つまり外国人)に対しては政治談議も仕事と思えばニコニコして聞けますが、相手がこっち側の人だと思うとあっさりと興奮し口論に発展します。

またそうでなくとも、FOX Newsが自分の生徒にとって悪影響だと思ったら良かれと思って、それは視聴するなと言ってくる可能性もあります。

そのため私がアメリカ人にあえて言うときは、CNN(左翼)とFOX News(右翼)を両方聞いていると伝えていますし、実際にそうしています。

100.
ある領域から、英会話は上達すれば上達するほど自由にしゃべれなくなります。それはあなたの発言に対して英会話の先生が持つ感想が強くなっていくからです。ただしこれはあなたの人生にとって何か新しいことというわけではなく、日本語でも相手の表情に気を付けてしゃべったり、危なそうな話題を避けたりするのと同じです。

あまり肩を張って考えてしまうと全然しゃべれなくなってしまいますが、外国語は上達すれば上達するほど、気遣いの度合いと発言への責任が増していくということは知っておく必要があります。

101.
アメリカ人は本当にアメリカ政治の今の話題に詳しいです。これは事実です。そのためややもするとマンネリ化する英会話の授業において、アメリカ政治はネタ切れせず話しやすい共通の話題となります。

ただ日本人は政治の話題を避けたがるとか、もっと自由に政治について話すべきだという割には、相容れない意見があるとあっさり力で押すような話し方をしてくる英会話の先生もいます。これはアメリカ人だからというより、人間はそういう生き物だからです。

したがって外国の政治について話すときは、「外国人の私から見ると」というような前置きをできるだけして、緩衝材を置きましょう。これは外国人からいきなり日本語で、「日本は天皇制を廃止するべきだ。」とか言われたら「何言ってんだこいつ? 」と直情的に思うけれども、「外国人から見ると天皇制は不思議な仕組みに見える」と言われたら、なんとなく会話が進む気がするのと同じです。

102.
日本人は政治知識が少なく、話題にもしない。これは事実です。

事実ですが、じゃあ毎日政治について話しているアメリカという国が社会問題を次々と解決できているかというと、全然そんなことはありません。

したがって私の個人的な意見としては、一般人は政治に関心を持つべきだが、それについて毎日話す必要は全然ないというものです。本当に必要な時に、厳しい議論を行って、最終的に結論を出し実際にその方向へ動く社会であれば全く問題ないと思います。

44. 旅行の英会話

103. TOEIC 800点を目指してください。私としてはこの辺りが最も費用対効果が高い英語力だと思います。辞書を使いながらEメールの読み書きを正確にできて、旅行先で英会話も楽しめてという、実用を兼ねた一番英語が楽しいレベルです。旅行英会話では難しいことは全く話しませんし、ノンネイティブ同士ならば難しい単語を使ってもお互い通じません。TOEIC 800点レベルでその内容を会話で使えるということならば、あなたの英語人生は十分豊かなものになるでしょう。

104.
まず言っておきますが、TOEICの公式問題集は日本人の現代英語学習における最高品質の対訳文書です。日本人が英文の意味を心底理解するには必ず日本語訳が必要なのですが、この日本語訳の正確さというのは翻訳する人や、場合によってはその時の体調によって変わってきたりもします。なのでどれだけ均質に、現代に合った翻訳基準で、複数人で心を落ち着けて校正したかというのが日本語訳の品質において決定的に重要になってきます。

そうしたとき複数人での見直しというのは、お金がかかるのでちょっとやそっとではできません。しかしおそらくですが、TOEICの公式問題集はTOEIC商売で大儲けしているTOEIC運営企業が金に糸目をつけずに一流の翻訳者を複数人雇って翻訳および校閲させていると思われます。こんなすごい本を使わない手はないです。実際に私が読んでいても、なるほどこう訳すのかと膝を打つことも多いです。

ごくまれに変な訳だなとか、こんな言い方するかなと思うことはありますが、それはどんな英語学習書でも同じです。

もちろんTOEICの英文に関しては、勉強した今日から使える実践的な単語や表現ばかりになっていますのでその内容に心配はいりません。

105.
行く場所によりますが、英語が全然話せない人は、正直言って下手に難しいことを言おうとするより"This one."(ディス ワン:これ、こいつ)を使った方が適切に意思疎通ができます。"Yes." "No." "Thank you." そして"This one." で7割ぐらいの状況を突破できます。

具体的には、
欲しい商品を指さして、This one. (これをください。)
相手からの質問を確認するには語尾の音を上げて、This one? (これですか?)
Googleマップを指さして、This one? (ここに行きたいのですが?)
笑顔で、This one~!. (^_^) (欲しかったのはこれです!)

場所を聞くために"Where" とか言ってみても日本人は最初のWも最後のRも発音できないので、あなたが何を言いたいのかわからず相手が困ってしまいます。それならばむしろ"This one." と、抑揚と、身振り手振りで意図を伝えた方がよっぽどわかりやすいです。

106.
英語を全く話せない人が、もしワンランク上のコミュニケーションを目指すなら、"This way."(ディス ウェイ:こちらです)を使うといいでしょう。

具体的には、
相手を誘導したいときは、This way.(こちらです。)
目的地への方向を尋ねたいときは、This way?(こっちですか?)
"This one." と "This way." を使いこなせれば、道案内や行き先を尋ねる英語は十分ですね。

107.
普通のアメリカ人も中国人も、外国人観光客から道を聞かれたときは多くの場合、あなたと同じ程度には親切です。ただ本気で何を言っているかわからないので、困ってしまっているだけです。

例えば「どこ?」は英語で”Where?”ですが日本人は先頭のWも最後のRも発音できません。これは日本語で例えると子音が落ちて「どこ?」が「おお?」になっているようなものです。いきなり外国人に「おお?」と言われたら日本人だって困りますよね。お金を払って対価を得るならまだしも、善意のみ無料の行いの範囲において、自分ができないことを他人に求めてはいけません。

せっかく英語で話しかけたのにそっけない態度を取られて悲しい気持ちになったあなたの心に、私は100%共感しますし同情します。しかしその外国人は助けてあげたいけれど、日本人が何を言っているか本気でわからないのでつれない態度になってしまった可能性は十分認識しておきましょう。

なお例え親切そうな人に見えても、外国では日本国内と同様に、知らない人について行ってはいけません。

45. 日本人に英語は必要か

108.
そんな世界は来ません。自信をもって言いますが、日本人全員が英会話が「必須」となる日は絶対に来ません。ただしあなたの職務で外国人との接点がある場合は、必ず英語が必要です。

109.
英語圏では無い英語が公用語の国・地域に言ったときに、英会話を完璧に拒絶する人たちに遭遇したからです。具体的には2011年ごろ香港へ行ったとき駅構内で道を聞こうとしたら嫌な顔で広東語で返され、マクドナルドで注文しようとしたら英語が話せるほかの人が出てきました。いくら私の英語が下手だったとはいえ、話しぐらい聞いてくれよと思いました。

皆さんもご存じのように香港はイギリスの支配下にあったため英語は公用語で、多くの香港人の英語力はとても高く英語がペラペラです。しかしその一方で、まったく英語が話せない、話そうともしない人もたくさんいるのです。理由は英語なんて話せなくても、生活に一切支障がないからです。

英語が公用語の地域ですらこうなのですから、ましてや日本で日本人全員が英語が必要になるなどということはありえないという結論に至っております。

110.
正直なところ費用対効果に会うとは思いません。私は今まで3回ぐらい外国人に道を聞かれて、英語で回答して感謝をされましたが、だから何なんだという話です。

特に今はGoogleやAppleのオンライン マップがあってその精度は極めて高いため、笑顔と指さしと、常識の範囲での知らない人への警戒心があれば問題ないと思います。

あと一応言っておきますが、親切心を見せようと思って、知らない人について行ってはいけません。

46. 日本社会での英語の発音

111.
まず客観的な事実として、日本人の99.99%は英語の発音の良し悪しの判断はできません。つまり英語の発音が良いとか悪いとかを判断できる人は、多く見積もっても1万人に1人です。平成以降に生まれた人たちは英語話者が多いのかもしれませんが、それでも99.9%はできないでしょう。

したがってツイッターでバズるような英語の発音が良い動画というのは、本当に「英語として発音が良いのかどうか」とは全く関係がありません。そのため「そうなんだー。」とだけ言っておきましょう。

112.
英語と日本語の音は、本当に驚くほどに全く違います。そのため英語力が超上級者であっても、「英語として聞き取りやすい英語の発音か」を判断できる日本人はほとんどいないと思ってください。

113.
恐れ入りますが、具体的な他人様の英語の発音についての論評は、差し控えさせていただきます。
ただ自分で英語をしゃべっている動画をあげているなら、それは自分の音を公開していない人たちよりは、圧倒的に評価に値する行動です。

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